名古屋高等裁判所 昭和63年(ネ)281号 判決
当裁判所も本件再審の訴は、これを却下すべきものと判断する。その理由は、原判決五丁表一一行目の「再審原告は、」から同丁裏四行目の「相当である。」までを「弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる乙第二号証によれば、再審控訴人は昭和六二年五月二日に本件確定判決正本の送達を受けたこと、その確定前の同月一六日に本件再審と同旨の再審事由を理由として第一次再審を申立てたことが認められ、右事実からすると、再審控訴人は同人が主張するところの本件再審の事由を本件確定判決の確定前に知つたことは明らかである。」と改め、当審における主張につき、次のとおり判断する他は、原判決の理由と同一であるからこれを引用する。
再審控訴人は、民訴法四二〇条一項但書の意味はその文言どおり、上訴した場合に限るべきであり、上訴しなかつた本件はこれに該当しないと主張するが、民訴法四二〇条一項但書の趣意からすると、再審事由があることを知りながら上訴をせず、これを確定させた場合も、同但書と同様に考えるべきことは明らかであり、本件再審の訴は同項但書に該当するものである。再審控訴人の主張は理由がない。
再審被控訴人らは、本件控訴は控訴権の濫用であり、民訴法三八四条ノ二に基づく制裁をなすべきであると主張するが、第一次再審の控訴審判決が再審控訴人主張の本件再審事由に関し述べる部分は傍論部分にすぎず、本件の争点についていままで判断されたことはないから、本件再審を控訴権の濫用であるとはいえない。よつて、本件については再審被控訴人らの主張する制裁を科すべき場合にはあたらない。
以上によれば、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却する。